私が危惧した通りに母親たちはあきらめなかった。いや、実際にやいやいうるさかったのはうちの実の母だけで、冴子母さんはせっかく息子と結婚してくれた嫁の機嫌を損ねたくない、という気持ちのほうが優先されていたようだったので、困った微少を浮かべて私と母の攻防戦を眺めているだけだったのだが。
「お母さん、しつっこいわよ!こーんな大きなものはいらないってば!」
なんと、今度の母親の作戦は、子供は勿論二人目を産むのでしょう?それが女の子だったらその子にもお雛様はいるんだから、私たちからのおひな様も受け取ってくれればいいのよ!という、無茶苦茶なものだったのだ。また、パンフレット持参で。
つっこむところが多すぎるわよね・・・ええと、うん。私も流石に頭を抱えたものだった。
二人目って・・・今一人目を産んでまだ一年も経ってないんですけど?とか。
次も女の子って・・・どこかに性別ボタンがあるんですかって聞きたいくらいだ。
それにね、お母さん、また子供を作ろうと思ったら、まずは面倒臭がりで一体どこにスイッチがあるのか判らないうちの夫の、性欲発生装置をオンにしなきゃあ出来るものも出来ないのよ!
・・・とは、流石に叫ばなかったけど。ちょっと叫びたくなってしまったのも仕方ないと思うの。全く。
私はその無茶苦茶な母親の提案に、目の前で鎮痛剤を飲むことで心労を伝えた上で、更にこうもいった。
「そ~んなに娘がほしいなら、今からでもお母さんが自分で産めばいいじゃないのよ。どうして私は一人娘だったわけ?どうぞ自力でも治療でも養子でも貰って女の子をゲットしてちょうだい」



