新・鉢植右から3番目



 それなのに、娘孫が!もうそれはそれは凄い興奮で競争のように甘やかすのだった。

 桜は起きてなどいなかったけれど、ここは利用させてもらわねば!私は本当に桜が起きたのかのようにオムツなどを片手にベビーベッドへと近づく。そうすれば、母親たちが飛んでくるのが判っていた。

「さ~ちゃ~ん、起きたのおおおお~?」

「あらあら、手を出しちゃってるわ。もう何度みても可愛いわよこの小さな手が!」

 押さえてはいるが興奮の出てしまう声で、両母親がベビーベッドを囲みこむ。本当は真っ先にきたかっただろうここへは、母親である私がお雛様の了解を出してからだ、と決めていたらしい。

 私が桜と名前を出した時点でぶっとんで来たもんね。いや、マジで。本当に空中に浮いてたよ。

 で、結局、何やら宇宙語を呟きながら起きた桜の世話を、二人でアレコレと焼きだした。おむつだリンゴを絞ったジュ─スだ麦茶だと。

 やれやれ。

 私は腰に両手をあててそれを見ている。とりあえず、これで一度は逃げられたわけよねって。だけどまた絶対に言い出してくるはず。この二人の母親、とくに私の母がそう簡単に自分達の夢を諦めるとは思えないのだ。

 今夜はどうしても会議を開く必要があるわ。

 この世で最も面倒臭がりの人間だと断言出来る、うちの夫と。