いつも無表情な、あの男が・・・目を見開いて驚いていた。

 触らないでって言ってしまった・・・。

 一瞬だったけど、強烈に気持ち悪いって思ってしまったのだった。全身があわ立つほどの拒絶反応が起こった。

 もうちょっとでヤツの手を叩いてしまうほどだった。

 体中に嫌な汗が噴出したのを感じた。

 産後のホルモンバランスの崩れで砂嵐のような状態に、実際のところ、まだ私はいるのだ。だから久しぶりにあったやつを見て、嬉しいとかよりも、威嚇する気持ちの方が強かったのだろう。知識としては知っていたけれど、実際に経験するとあまりにも強烈な嫌悪感で、それに心底驚いていた。

 ────────触られるのが、すごく嫌だって、思ってしまった・・・。ほんとに、ほんと~うに一瞬だったけど、ヤツの指で触れられること、それに対して爆発的な拒否反応が出た・・・。

「うわああああ~・・・・」

 ヨロヨロと食卓までふらついていって、私はぐったりと顔をつける。

 あからさまな拒否を、そのまま出してしまった。

 今のは酷かった。もしも反対の立場だったならば、私は相手に対して露骨に切れて暴れまくったはずだ。

 ヤツは───────────きっと、傷付いただろう。

 もとより、男性の方が女性より繊細であることもある。普段余計なことどころか必要なこともあまり口にしない彼は、一応でも好きでいる(はずの)私からそんなことを言われて、きっとショックを受けただろう。