ひとつ屋根の下



「めんどくせぇ」


そういうと庚君は出てきた部屋に戻ってしまった。


「こら!庚!」

「先生いいですよ。顔を見られただけで充分です。」


私はそう言って微笑んだ。

それに庚君からは少し寂しそうな雰囲気が感じられた。


「そっか。」


そう言って先生は私の頭を撫でてくれた。


「先生の手、お父さんに似てる。」


私がそういうと先生は『ごめん』と謝ってきた。


「なんで謝るんですか?」

「思い出したくないかなと思って。」

「いいえ。むしろ先生が居てくれてほんとによかったと思ってます。」


そういうと先生も笑った。