ひとつ屋根の下



先生は2人が出ていったのを確認すると話を始めた。


「俺は結婚してないんだけど身寄りのない子を引き取って部屋を貸しているんだ。洸もそこに来ないか?」


私には願ってもない話だった。


「その代わり、洸にとっては7人のお兄さんが出来るんだけど。」


先生は申し訳なさそうに言った。

恐らく年頃の女の子を思ってだろう。


「いえいえ、私なんかを引き取ってくださるだけで十分ありがたいです。」

「金銭面では困らない様にサポートするからさ。」


先生の話では生活費も教育費も負担してくれるらしい。

私は感謝で胸がいっぱいになった。


「ありがとうございます。」

「お礼を言われる程じゃないよ。もう家族なんだから。」


私は先生の言った『家族』という言葉にとっても暖かみを感じた。