【那月】


晃の元で新生活を始めた僕は、穏やかな毎日を送っていた。



「こら!菫!遊んでないで準備して!」

「イヤ〜〜!!」



間違えた。


騒がしい毎日かな。




「ハル!捕まえて!」



朝から準備に追われる里香ちゃんと、逃げ回る菫ちゃん。




「そらっ、菫。里香困らせんなよ〜。」



ハルは菫ちゃんを抱き上げて里香ちゃんのとこまで行くと、その場にフワッと降ろした。



「すぅ幼稚園行かない!」

「ダメです。」

「嫌だ!行かない!」

「どうして?」

「行かないの!」



菫ちゃんが里香ちゃんの問いを無視して行かないの一点張り。



自己主張は強い方だと思うけど、ここまで幼稚園に行きたがらないのもなんだか不思議だった。




「行きたくないんだもん。」



ぽつりと呟いた言葉を、里香ちゃんが無視するわけなんかなくて。



頑なに理由を言おうとしないから、里香ちゃんも変に思ったのかな。