ハルの言ってることを飲み込むには、まだ時間がかかる。
そういうところが、僕は子供なんだと思う。
「心配すんな。お前はもう鷲見の家の子じゃねえ。晃がお前を家族だと言った。それなら俺はお前をそう認識する。」
「………。」
何も言えなかった。
ハルのアキラに対する思いの強さを目の当たりにした気がした。
「何かに不安で、何かに怯えて。そんな得体の知らねえもんがお前を支配したって、あそこはそんなん全部取っ払って、安心していられる場所だ。」
「…ハルは味方なの…?」
「さあな。だけど、お前の帰る場所は晃が守るあの家だ。それだけで十分じゃねえか。」
それだけで十分。
ハルが言った言葉を、僕はどう受け止めたかよく覚えていない。
ただハルがそう言うからなぜだか大丈夫だと思えた。何かに不安になる必要なんてないんだと。
「うわっ。薄くなってる…。」
「だから飲んどけっつっただろ〜。」
甘いココアは氷が溶けて薄味になってた。
「どうせまだ帰んねえから、なんか食うか。」
ハルが頼んだ軽食を詰め込み、ココアを全部飲み干して一緒に店を出る。
携帯をいじって何かを考えてるようなハルは徐にこんなことを言い出した。
「ちょっと付き合えや。」
有無を言わさないハルの瞳に吸い込まれるようにして、僕は背中を追いかけた。


