「まず、この子が赤松 颯太(あかまつ そうた)。5歳で保育園の年長さん。颯太、那月お兄ちゃんに挨拶してね。」
一歩踏み出した颯太が那月を見上げ、那月は慌ててしゃがみ込んだ。
そんな那月を真っ直ぐ見つめた颯太が自己紹介をする。
「あかまつ、そうた!」
おお…。
自分の名前をニコニコ叫んで満足できるのは、5歳児の特権だと思う。
「鷲見 那月です。」
「俺もう、ナツキの名前覚えた!」
「…ありがとう。よろしくね。」
「うん!」
可愛い…。
颯太はへへ、と笑ってそそくさと後ろに下がった。
次はアタシ〜!とさっき俺にしがみついていたスミレが一歩、前に出る。
「えっとね、」
「すみれ!ひがすみれ!」
「比嘉 菫(ひが すみれ)。颯太と同い年で5歳。よろしくねって言ってるよ。」
苦笑気味に仲良くしてやってねと、里香は那月に言った。
「よろしくね、那月です。」
「なっちゃん?」
「え?あ、うん。」
「なっちゃあああああん!!!」
その場で足をバタバタさせてから、くるっと1回回りながら後ろへと戻る。
元気だなあ、アイツ。


