「次はハル〜。」
里香に急かされて椅子から立つ。さっきリュウと里香が立ってたからそれに習った。
「一ノ瀬 晴都(いちのせ はると)。14歳。中3。よろしくどーぞ。」
簡単に自己紹介を終えてガタンと椅子に座る。
「ちょっとハル。アンタもっと感じ良くしなさいよ。初対面で悪い印象しか与えないでしょ。」
案の定、晃にグチグチ言われたけど俺は気にしない。
「いんだよ、俺のスタイルで。」
「知らねえよ、お前のスタイルなんて。」
晃との言い合いなんて日常茶飯事。
バチっと飛んだ火花を鎮火するのは、いつも里香だ。
「ほらもう晃もハルもやめなさい。なっちゃん、晴都はね、ハルって呼ばれてるの。なっちゃんもハルって呼んでいいからね?」
「え…。」
「ね、いいよね?ハル。」
戸惑った様子の那月と里香。
「ん。」
とだけ返しておいた。
「そうだ、ハルの好きな食べ物は?」
好きな食べ物?
「餃子。」
「だって、なっちゃん。覚えた?」
里香の微笑みに、那月ははにかんで首を縦に振った。


