【那月】
ハルが僕を遠回しに勇気付けてくれたのがわかった。
それは相談するよりもずっと心強くて、僕には頑張れって聞こえたんだ。
口に出して言うことはできないけど。
そんな僕に気づいてハルが気を利かせてくれたことが嬉しかった。
前に学校を抜け出した時もリカちゃんと会ったっけ。
リカちゃんも何も聞かずにいてくれた。
お腹が痛いって嘘を心配してくれた。
嘘だって気づいてたよね。
ハルにも晃にも言えないけど。
頑張らなくちゃ。
負けない。
学校が嫌だなんて言わない。
「行ってきます。」
「気をつけてな。」
見送ってくれた晃に手を振った。
もう抜け出したりしないよ。
ごめんね。
この学校は窮屈だけど心を押し込める。
何日経っても週が変わっても、僕は何もないように振る舞った。
黒く塗り潰した気持ちだけ抱えて。


