パッと左を向くと下を向いていていつもみたいな元気がない。
繋いだ手から、菫の悲しみを汲み取ってやることはできなくて。
ただそこに込められた力の強さと沈んだ心をちゃんと理解したいと思った。
手を離して菫を持ち上げる。
俺と向かい合うようにして膝に座らせた菫をギュッと抱きしめた。
小さい体が、丸い腕が俺を必死に掴む。
「ハル〜〜…。」
「ん〜。」
「ハル…。」
ぼろぼろ溢れた涙を俺は黙って受け止めていた。
晃やリュウみたいに気の利いたことなんて言ってやれねえし、里香みたいな優しさなんて持ち合わせてない。
この腕の中にある小さな花を、上手に大切にできればいいけど。
「ハル〜…。」
ただ俺がそこにいるかを確認するかのように名前を呼んでしがみついてくる菫をひたすら抱きしめた。
菫を泣かすヤツを憎いと思ったし、何か思いを背負う菫の荷を下ろしてやりたくて。
何が原因なのか分からないからどうしようもできないけど。
こんな頼りない人間でごめんな。
でも俺、お前のことが世界一大事なんだよ。
そんな簡単な二言を飲み込んだ。


