first・きす

「ごめん。付き合えない」

「そっか…」

やっぱりな…
分かっていたことだから食い下がったりはしない。
でもやっぱり諦められない
10mほど前を、
茶髪のサラサラロングヘアをなびかせ、
すらっと長く細い足で堂々と歩く山内さんに、
諦めないと宣言した。
彼女は少し振り向き、笑顔を見せた。
振られた直後にも関わらず、ドキッとしてしまう。彼女はそれくらい魅力がある。
彼女に好意を抱いているやつは俺だけじゃない。クラスの3分の2の男子はそうだ。1年生なのに、2年生や3年生にも人気がある。休み時間、先輩に呼び出されたり教室に見にきているのを知っている。だからこそ、とられたくなかった。あまり話したこともないのに告白してしまった…
(もう少し我慢すればよかったかな…)
そう思ったがもう告ってしまったものは仕方ない。これをきっかけに俺のことを知ってもらえたら、と前向きに考えることにした。
そう考えていると予鈴が鳴った
俺は急いで教室へと戻った。