first・きす

「ただいま〜」

靴を脱ぎながら疲れたような声で言った。

「おかえりなさい!遅かったじゃないの〜」
と言って母が包丁を持ちながらキッチンから出てきた。

「…包丁持って出てこないでよ、怖い」

「あ、ごめんね〜!
もう少しでご飯できるから着替えてらっしゃい!」

「はーい」

返事をして階段を上がり、部屋に入った。

バフっ

「はあ〜… 今日は色々ありすぎた…」

高瀬くんに告白されたり
高瀬くんと役員一緒になったり
先輩に絡まれてるところを助けてもらったり
逃げて手を繋いだり
さりげなく下の名前を呼ばれたり
寝ちゃったナナにブレザー掛けてくれたり
…キスしようとしてきたり…

思い出せば出すほど
ドキドキしちゃう…

「あーもう!!わかんない!!」

…とりあえず今日のこと、ちゃんと謝ろう…
そう思い、スマホを制服のポケットから取り出し、

『高瀬くん、今日はたくさん助けてもらって
助かりました!ありがとう!
役員2人でがんばろうね!』とLINEした。

送ったと同時に1階からママの声がした。
「ナナ〜!ご飯よ〜!」

携帯をベットに置き、部屋を出た。