first・きす

「ごめん付き合えない」

「そっか…」


はあ…
これで何回目だろう
自慢じゃないけど多すぎて
数える気にもならない

振られたのはクラスの男子。
高瀬颯太(たかせそうた)
とか言ったかな、
クラスの中でも人気のある彼
運動ができて誰にでも優しいから結構もてるらしい
そんな彼を振ったのが私、
山内那奈星(やまうちななせ)
自分で言うのはなんだけど
意外ともてるんだ。
茶髪のサラサラロングヘアー、
長いまつげにぱっちり二重の瞳、
スッと綺麗な鼻、
ふっくらしたアヒル口、

運動だってそれなりにできる
勉強はまったくだけど…



高瀬颯太に呼び出された、大きなイチョウの木がある校庭を後にし、教室に戻る。
後ろから彼の声が聞こえる

「山内さん!俺、諦めないから!」

少し振り向き10mほど後ろにいた彼に
軽く笑顔を見せ再び足を進ませた

「ナナは恋なんかしないんだよ〜」
小声でそう呟き、教室のドアを開け、
自分の席に座った