黙って座り込んでいる私のところに空がゆっくりと歩いてきた。


「………か…」


「笑っていいよ」


私は空の言葉を遮って言う。


「……………」


「好きなだけ笑っていいよ、それとも勝負したいの?今なら勝てるもんね?」


「……っ……!!!!!」


私の言葉に空は弾かれたように私の胸ぐらをつかんで引き寄せた。


「………」


「………」


空の真っ直ぐな瞳が私を見た。


「栞奈、今の言葉本気で言ってたなら俺キレるぞ。」


「………」


空の低い声が私を動けなくした。


「俺はな戦意喪失してるやつとやって勝ったって嬉しくねーんだよ。

簡単に勝てねーからやるんだろ。

お前だったから、簡単に勝てなかったからやったんだろ。

んなこともわかんねーでやってたのか?」


「…………ごめん、八つ当たりした。」


「ふっ………いいよ」


私が謝ると、空は笑って言った。