「泉、何故こんな所に?」

「今、ここに住んでいるから。」

「そうなんだ。」



パッ


うっかり生徒手帳を落としちゃった。
山奥君が拾ってくれたが、

「『椎名鈴恵。』誰だ、それ?」

「あたしよ!」

「はあ?だって、お前は『佐藤泉』だろうに。」

「あ、じゃ、バイバイ!」


気まずい。
せっかく『泉』と呼ぶでくれる人にあったのに。
知られたんだ。
あたしが、もう、泉じゃ、ないということを。