眼鏡とハンバーグと指環と制服と

「……ないってば」

「ゆずちゃん。
俺も勇にぃも、亜紀だってゆずちゃんのことはほんとの兄妹みたいに思って
る。
それでも話せない?」

「……ごめん」

俯いたら、あたまの上に勇にぃの手が載った。
そのまま、くしゃくしゃと私のあたまを撫でる。
反対側からも手が出てきて、歳にぃからも撫でられた。
亜紀ちゃんはそんな私たちを、笑ってみてる。

「わかった。
無理には聞かない。
でも、話したくなったらいつでも話せ。
俺たちは、親父とお袋だって、いつだって夕葵の味方だ」

「……うん。
ありがとう」

……優しい、近藤家のみんな。
正直に、話ができなくて、ごめんなさい……。


コンコン。

玄関の開く音がしてなつにぃが帰ってきたのがわかったら、もう寝ようと電気
を消しかけたら、ドアをノックされた。

「ゆずちゃん。
まだ起きてる?」