眼鏡とハンバーグと指環と制服と

「……母さん。
そんなに私が娘だと不満か?」

「だって亜紀は夕葵ちゃんみたいに、可愛くないんですもの」

……ううっ。
みんな、私となつにぃが結婚してること、知らないから。
近藤家の皆さんを欺してるのって、つらい。


晩ごはんがすんで、買ってきてくれたケーキを食べた。

結局、残り二箱は一箱は持って帰って、一箱は近藤家で食べることになった。

いつものように、亜紀ちゃんと勇にぃと歳にぃに送られて帰る。

別に、勇にぃか歳にぃ、どっちかひとりでいいんじゃないかと思うんだけど、
何故か三人一緒じゃないとダメらしい。

「夕葵。
……おまえ、なんか隠してること、あるだろ?」

いままで楽しく話してたのに。
急にそんなことを聞かれて、困ってしまう。

「……ないよ」

「おまえが生まれたときから見てきたんだぞ?
すぐにわかる。
それにたぶん、親父とお袋も、気付いてる」