眼鏡とハンバーグと指環と制服と

「亜紀、ごはんの用意手伝って」

「……なんで私が」

「あの、私、手伝います!」

「でも、夕葵ちゃんはいつも主婦してるんだから、今日くらいはお休みして
て」

「けど、私、おばさんと料理するの、好きだから」

「……ほら、夕葵もそういってるし」

「なら、お願いするわ」

亜紀ちゃんの手からエプロンを受け取って、キッチンのおばさんの隣に立つ。
亜紀ちゃんは文庫本を手に、ソファーに座って読書を始めた。

……毎回、何度となく繰り返されてきた会話。

おばさんと料理をするのは好きだ。

だって、近藤のおばさんは料理が上手だし、……きっと、お母さんと料理する
のって、こんな感じなんだろうな、って思うから。

亜紀ちゃんもおばさんも、実は私のそんな気持ちを知ってるから、私が手伝う
といっても反対はしない。


今日は簡単にできる、ハヤシライスっぽいものを教えてもらった。