眼鏡とハンバーグと指環と制服と

にっこり笑ってそういった月原先生に大多数の生徒は納得したけど。
野山さんは引き下がらなかった。

「けど、人のものなのでって」

「そーだねー。
七尾さんのものだもん」

ええっー!

教室中から上がった声に、廊下どころか他の教室からも何事かとみんな様子を
見に来てる。

……いやいやいや、ちょっと待って!
なにを一体カミングアウトしてる!?

「そ、それってどういう……?」

「さっきいったでしょ?
七尾さんがお嫁にいくまで結婚なんかできない、って。
それまではある意味、七尾さんのものだよ」

……ああ、そういう。

教室中、ゆるーく笑ってそういった月原先生に脱力してる。

……なんとかこれで、誤魔化せたかな。


帰りにいつもの、たい焼き屋さんでかき氷を食べることになって、三人一緒に
帰る。
絶対ふたりとも、さっきのことを聞きたいはずなのに、なにも聞いてこなくて
怖い。