眼鏡とハンバーグと指環と制服と

「最近はいないと……思う」

「おら、席に着け!始めるぞ!」

気が付いたらチャイムが鳴っていて、次の時間の古典教師がきていた。
みんな慌てて席に着く。

……どうしよう。
どうやって、誤魔化したら。

そのことであたまがいっぱいで、授業の中身なんてちっとも入ってこなかっ
た。


「まだ残ってる人、いるー?
模試の申込用紙……」

「月原先生!結婚したんですか!?」

授業が終わり、帰り支度をしていたところに顔を出した月原先生に、野山さん
が詰め寄った。

「は?」

月原先生はきょとんとした顔で野山さんを見つめてる。

「だって、さっき教頭の見合いの話、断ってましたよね!?」

「あー、あれね。
僕、七尾さんの親代わりみたいなものだから、七尾さんがお嫁にいくまで結婚
なんかできないし」