眼鏡とハンバーグと指環と制服と

ゆっくり、ゆっくり夏生の手が私の髪を撫でる。
そのせいか、何故か落ち着いて話を聞けてた。

「……修学旅行のときのこと、覚えてる?」

「……うん」

忘れられるはずがない。
あんな、怖い思い出。

……それに、あの、夏生。

「ゆずちゃんは知らないと思うけど。
このあたりはね、大先生の目が行き届いてて安全なんだ。
警察にも密に巡回してもらうようにしてたし」

「……え?」

「大先生たちもだけど。
近藤のおじさんとおばさんも大体事情は知ってる。
勇たちは詳しく知らされてないけど、薄々、気付いてると思う」

「……そう、だったんだ」

だから。
亜紀ちゃんたちはみんな、私にあんなに過保護で。

「修学旅行、東京、だったでしょ?
芝浦の家からも近いし、でも、まさか、って思ってた。
けど、やっぱり不安で。
結局、あんなことになって、やっぱり無理矢理でも、ゆずちゃん休ませればよ
かったって後悔した」