眼鏡とハンバーグと指環と制服と

「ううん。
続けて」

「……事故は僕がゆずちゃん迎えに行った帰りだったから、一緒に目撃して
た。
それで、警察にいったんだけど、なんか態度が微妙で。
結局、使われた車が盗難車の上に、もうスクラップになってて。
ゆずちゃんも正気に戻ったときはまた全部忘れちゃってたし。
証拠がない、って」

「……うん」

……伯母様が怖くて仕方なかった理由が、やっとわかった。
そういうこと、だったんだ。

「武史さんから家のことは聞いてた。
でも、まさか本当にこんなところまで、殺しに来るなんて思ってなかった。
だから、紫子さんたちが死んで、芝浦会長からゆずちゃんを引き渡すようにい
われたけど、おばあちゃんは頑なに断った」

「……うん」

「そのあとも何度もいってきたけど、断り続けたよ。
ゆずちゃんには芝浦の家のこと、秘密にしよう、って。
できれば一生、知らずに過ごしてもらいたい、って。
おばあちゃんの、希望」

「……そうだったんだ」