眼鏡とハンバーグと指環と制服と

「うむ。
わしもまだ若いとは思っていたが、過労で入院するなど、もういい年なのだと
痛感した。
そこで、近いうちに引退しようかと考えておる。
あとは現社長である一晃(かずあき)に譲るつもりだが、将来的には夕葵に継が
せたいと思っておる」

……はい?

「夕葵は若い。
大学受験も控えておるし、受かれば数年は大学生だ。
そのあいだはわしもまだまだ元気でいるつもりだし、柏木を補佐につけるつも
りだから問題ない。
しかし、皆の協力は必要だ。
夕葵を支えて欲しい」

ざわざわ、ざわざわ。

お座敷中ざわついてる。

そりゃそうだろ。
みんな、私だって青天の霹靂、って奴だもん。
全くもってわけがわからない。

私が将来的にとはいえ、おじいさまの跡を継ぐ?
まだ右も左もわからない、十八歳の小娘だよ?
おじいさま、一体どういうつもりなんだろ……?

「そうそう、晃匡との婚約は破棄にしたりはしない。
晃匡はああいう性格だから、夕葵の婿として今後も好き勝手にすればよかろ
う」

……やっぱり晃匡さんとは結婚することになるのか。
仕方ないよね。