眼鏡とハンバーグと指環と制服と

バスはどんどん山を登っていく。

中腹にある、展望台でバスを降りた。
そこには誰もいなくて、私たちの貸し切り状態だった。

「ゆずちゃん、見て」

なつにぃが指した方向にあったのは、海に沈むきれいな夕日。

「きれい……!」

「ゆずちゃんにこれ、見せたかったんだ」

そっと、肩を抱かれた。

なつにぃの心臓が、ドキドキいってるのがわかる。
私の心臓の音も早いの、気付かれてるのかな……?

「今日のゆずちゃん、可愛過ぎ。
我慢できなくなる」

「なつにぃ……?」

「僕と出かけるとき以外、可愛い格好するの禁止。
僕以外の奴のために、そんな可愛い格好するのとか、許せない」

「……うん。
なつにぃのため以外、しないよ?」

……なんだろ?
なんかいつもの、ゆるいなつにぃじゃない。
ちゃんとした、男の人、みたい。