眼鏡とハンバーグと指環と制服と

「……え?」

帰ろうと椅子から腰を上げると、初めておじいさまが口を開いた。

「……また、見舞いに来るといい」

おじいさまはそれだけいうと、私に背を向けてしまった。

「え、あ、……はい」

……えっと。
なんだったの、かな?
とりあえずは迷惑ではないってことだよね?

「……珍しいですね」

「なにがですか?」

帰りの車の中。
柏木さんがちょっと驚いてるみたいだった。

「会長がああいうことをいうのがです。
いつも、人を遠ざけたがりますから」

「そうなんですか?」

「はい」

……どういうこと、なんだろうね?


夜、柏木さんと相談して、やっぱりしばらくマンションで自主学習にしてもら
った。