眼鏡とハンバーグと指環と制服と

私の手を握ってない方の手が、枕元にあったナースコールのボタンを押した。
お医者さんが診察してるあいだも、手を離さない。
診察が終わって医師たちが出て行くと、そっとあたまを撫でられた。

「……私、あれから……」

「今日はまだ、眠っていてください。
明日になったら、お話します」

「……はい」

柏木さんはまるで愛しむように、私のあたまを撫で続ける。
なんだかそれが安心できて、心地いい眠りへと落ちていった。


次の日、柏木さんがいままでのことを教えてくれた。

あの日、柏木さんが駆けつけたときにはもう、私の意識はなかったそうだ。
吐いた物から出た毒は私を優に三回は殺せるほどで、伯母様たちはよっぽど腹
に据えかねていたらしい。
私は一週間、生死の境を彷徨い、もし柏木さんの到着があと少し遅れてたら、
死んでいたかもしれないといわれた。

「すみません、お守りするといっておいてこんなことで」

「……柏木さんのせいじゃないですから」

「でも……」

「……そのまま死んでたらよかったのに」