眼鏡とハンバーグと指環と制服と

「どうかされましたか?」

「えっ、あ、えっと。
……夏生も早く、いい人見つけて再婚してくれたらいいな、って」

「……よろしいんですか?」

「だって夏生、家事とか、洗濯と簡単なお掃除くらいしかできなくて。
高校生のときからひとり暮らしっていっても、ほとんどのこと、うちでまかな
ってたから。
料理なんてできないどころか壊滅的だし、ボタン付けとかも小学生の私に頼ん
でたんですよ。
『ゆずちゃん、ボタン取れたー』って」

……懐かしいな。
お裁縫を覚えてからは、ボタン付けは私の役目だった。

「ほんとに仲がよろしかったんですね」

「はい。
だから、早くお嫁さん見つけて再婚してくれないと、心配っていうか」

……あれ?胸が、苦しい。
息が、詰まる。
泣きたい、前兆。

「……無理、しないでください」

柏木さんにあたまぽんぽんされて。
やっと苦しかった息を吐き出せた。