眼鏡とハンバーグと指環と制服と

「……はい。
ごめんなさい」

ぽんぽん。

柏木さんの手が、私のあたまにふれる。
初めてそんなことをされて泣きたくなったけど、やっぱり涙は出てこなかっ
た。


退院すると八月になってた。

まだ、夏生と別れて二ヶ月なんだ、と思うと不思議な感じ。
いろいろあり過ぎて、一年くらいたった気がする。

そういえば、勇にぃの結婚式はもうすぐだ。
八月の第一日曜だっていってたから。

きっと、怒ってるだろうな。
みんなに黙っていなくなって。
なんで相談しなかったって、きっと怒鳴られるな。

亜紀ちゃんも怒ってるだろうな。
香織ちゃんもきっと。

「柏木さん。
……その、お花を贈るとか可能ですか?」

「花、ですか?」

柏木さんの顔が不機嫌になる。
でも、あれは「困ったな」の顔。
不機嫌な顔が多いのは、感情を表に出すのが苦手だから、ついそういう顔にな
ってしまうみたい。