眼鏡とハンバーグと指環と制服と

柏木さんはいまの仕事は私の世話をすることだからって、傍にいてくれる。

毎日、私が少しでも元気になるようにか、お父さんの話をしてくれた。
お父さんは結構やんちゃな人だったみたいで、しょっちゅういたずらをしては
先生に怒られてた、って。
そういう話を聞くのは楽しかった。


「実は、私が夕葵さんと結婚するはずだったんです」

その日の晩ごはんのあと、そんなことをいわれて驚いた。

ちなみにごはんはいつもお弁当だ。
わざわざ、岬さんが作ってくれて、届けてくれてる。
病院食でも柏木さんは、安心できないらしい。

「えっと?」

「驚いてしまいますよね。
親子ほど年が離れてるのに。
会長としてはあなたと結婚させて婿養子にすれば問題ないと、かなり本気だっ
たみたいです」

「はあ」

「結局、満智子様たちの猛反対にあったのと、年が離れ過ぎてるってことでこ
の話はなくなりましたが。
もしかしたら、あなたと夫婦になってたもしれないと思うと、不思議な気分で
す」

「……柏木さんだったら、諦めがついたのに」