眼鏡とハンバーグと指環と制服と

「はい。
学生時代、武史はしょっちゅう、体調を崩していました。
身体でも弱いのかと聞いてみたら、『継母と姉が殺そうとするんだ』と笑って
返されました。
あのときの困ったような笑顔。
いまでも忘れられません」

「……そう、だったんだ」

……だから。
芝浦の家を捨てて、七尾の家に入ったんだ、きっと。
たぶん、おばあちゃんがお父さんの家族の話をしなかったのも、このせい。
夏生が必死で私から隠してたのも、きっと。

「……夕葵さんは私がお守りいたします。
親友だった武史の娘です。
そう簡単に、殺させはいたしません」

「よろしく、お願いします」

ちょっと笑ってみたら、柏木さんも笑ってくれて嬉しかった。

薬が効いているのか、少し話しただけで眠くなってきた。
だんだんと眠りに沈んでいきながら、さっき夏生がいたような気がしてた。
でも、きっと……夢の中で会ったんだろうな。
また、会えるといいな。


それから一週間、入院した。
何度か伯母様がお見舞いに来たみたいだけど、柏木さんが丁重に追っ払って
た。