眼鏡とハンバーグと指環と制服と

採点をすませた柏木さんは、呆れたように私の前に答案用紙を投げ捨てた。

「これからは、寝る間を惜しんで勉強していただきます」

「……はい」

「まずは、この問題集から。
私は所用で一時間ほど席を外しますが、そのあいだにここまですませておいて
ください」

「……はい」

……はぁーっ。

柏木さんが出て行ってため息。

ずっとこんな調子なんだろうな。
これで、合格できなかったらどうなるんだろ?
でも、悩んでる暇はない。
私が決めたことだし、それに指定された範囲は多過ぎる。


それから毎日、私を芝浦家にふさわしい人間にする、って教育が続いた。

朝は五時起き。
五分で身支度して、車の中でお手伝いさんが用意してくれてるおにぎりを食べ
る。

五時半には本家に到着。
それから八時までおばあさま(そう呼ぶようにいわれたから。でも、おばあさ
まはそう呼ぶたびに嫌そうな顔をする)から日替わりでなぎなた、お花、お茶
の指導。