眼鏡とハンバーグと指環と制服と

帰りながらそう聞かれたけど……食欲なんて、まるでない。
黙って首を振ると、おばさんは困ったみたいに笑った。

「なんでもいいわよー?
アイスでもケーキでも。
あ、どんぐりに寄って帰りましょうか」

どんぐりは近所ではおいしいって有名なケーキ屋さん。
いつもなら凄く嬉しいはずなんだけど、今日はなんとも思わない。

ずっと黙ってる私に、おばさんはやっぱり、困ったみたいに笑った。


どんぐりに着いて車を降りる。

お店に入って一番に目に飛び込んできたのは……苺の載ったショートケーキ。

しかも、ホールの。

瞬間、目の前に夢の映像がちかちか映る。

やだ、やだやだやだやだやだ!

「夕葵ちゃん!?大丈夫!?」

気が付いたら、床の上に座り込んでがたがた震えてた。

他に、お客さんがいなくてよかった。

おばさんの手を借りて、どうにか立ち上がる。