眼鏡とハンバーグと指環と制服と

おばあちゃんはいつから、そんなこと考えてたんだろ?


もう一度、大先生たちに挨拶してその場を離れる。

夏生はなんだか嬉しそうに笑ってて……たぶん、私もあんな顔して笑ってるん
だろうな。

夏生はその後、いろんな人に挨拶して廻ってた。
というか、夏生は道場で有名人らしく、少し移動するだけでいろんな年代の人
が声をかけてくる。

離れた壁際でそれを見ながら、ちょっとだけ不安になった。

だって、いまの夏生は私の全然知らない、大人の顔してる。
家で私に見せる顔とも、学校で私たち生徒の相手をしてる顔とも違う、……見
たことない、知らない顔。

さっきはあんなに倖せだったのに、急に不安が襲ってくる。

……ほんとに夏生は、一回りも年下の私でよかったのかな、って。

「七尾」

「え、あ、はい」

呼ばれて俯いてた顔を上げたら、隣にいつの間にか、吉永先生が立ってた。

「月原先生に連れられてきたのか?」

「あ、いえ、富栄さんのご招待、です」