眼鏡とハンバーグと指環と制服と

「夕葵ちゃんもそれでいいんだな」

「はい、いいです」

大先生はなにかを考えるみたいにずっと黙ってる。

ダメ、っていわれたらちょっと悲しいかも。
大好きなおじいちゃんだし。

「……わかった。
夏生くんがよく考えた上のことなら。
ふたりとも、おめでとう」

「ありがとうございます」

「ありがとう、ございます」

大先生のあったかい笑顔。

……ほんとは。
大先生にいうこと、まだ反対だった。
けど、こうやって話してしまうと、なんかつっかえてた物がとれたみたいな気
がして、話してよかったって思う。

……ほんとはもう結婚してるのに、嘘をついていることには胸が痛むけど。

「よかったわね、ふたりとも。
きっと、あの世で君子ちゃんが喜んでると思うわ。
だって君子ちゃん、ずっと夏生くんが夕葵ちゃんをもらってくれたらいいの
に、っていってたから」

富栄さんに手をぎゅうぎゅう握られながらそんなことをいわれて、ちょっと驚
いた。