「これにします。
これが、いいです」

「わかったわ。
帯はこれで、帯揚げと帯締めは……新調した方がいいわね。
あと、草履バックも。
どうせ、肌着や足袋なんかは買わなきゃいけないから、明日にでも買い物に行
きましょうか」

「はい、よろしくお願いします」

お母さんとおばあちゃんの、形見の着物。
それを着るのは、なんとなく嬉しい。


そのあとおばさんは、出したついでにって、シミやカビが生えてないかチェッ
クしてくれた。
基本、保存状態が凄くよくて、ほとんど問題ないみたい。

しかし、出してみると結構枚数があってびっくりした。
ずっとなおし込んでるのももったいないし、おばさんに今度、着付けを習おう
かな。


「じゃあ、あとでね」

「……うん」

「緊張しなくても大丈夫だから。
それじゃ、いってきます」

「いってらっしゃい」