眼鏡とハンバーグと指環と制服と

「……そういうこと」

富栄さんというのは、夏生の通ってる道場の、大先生の奥さんでおばあちゃん
のお友達だった人。
夏生もそのご縁で、いまの道場に通ってるんだといっていた。
たぶん、おばあちゃんのお葬式以来会ってない。

「それにね、結婚したことはいえなくても、結婚することにした、ってくらい
で報告したいし」

「ダメだよ!」

「なんで?」

こてんと、夏生の首が倒れる。

……なに考えてるんだろ、ほんと。

「道場の関係者で、吉永先生、来るんだよ?
それに剣道部の宮元先生と舞園先生だって」

「大丈夫だよー。
大先生と富栄さんにだけだもん」

「でも……」

「もしなんかあったとき、ゆずちゃんの力になってくれる人、少しでも多い方
がいいと思うんだ。
もうないと思う……というかないけど、このあいだみたいなときとか」

シュン、ちょっとだけ夏生の背中が小さくなった。