眼鏡とハンバーグと指環と制服と

帰ってくるのは十時前後になるから、おなかがすく。
だから、簡単なお弁当を持たせてる。

ほんとは、夜遅くがっつり食べるのもあれだし、本格的なお弁当を持たせて夜
はお夜食程度、って思ってたんだけど、
「ちゃんとした晩ごはんは、ゆずちゃんの顔見ながら食べたい」
だそうで。

だから、おにぎり二つとインスタントのお味噌汁。

スープジャーに具だくさんのお味噌汁を入れてあげたいところだけど、夕方だ
と冷めてる気がして、手を出しかねてる。

「いってきます」

「いってきます」

夏生の唇が、そっと私のおでこにふれる。
それだけで、一日頑張ろうって思えるから、不思議。

一緒に駅まで歩いて、改札を抜ける。
向かいのホームに出る陸橋を上がり、ホームに降りるときは左右に別れる。
別れて、ホームに降りたときから、「夏生」は「月原先生」だ。
入学したときに決めた、私たちのけじめ。


「おはよう、夕葵」

「香織ちゃん、おはよう」