眼鏡とハンバーグと指環と制服と

「そーねー。
ほんとにうちの子に、しちゃおうかしら?」

笑ってるおじさんとおばさんは……どこまで冗談なんだかわかりません。

「ゆずちゃん。
こんなダメな僕だけど、……帰ってきてくれますか?」

「……やだ、っていったらどうするの?」

「そんなの、やだけど、僕が悪いから、我慢して、諦める……」

えぐえぐと泣き出してしまった夏生をぎゅーっと抱きしめる。

「……そんなに簡単に、諦めないでよ」

「ゆず、ちゃん?」

「諦めないで。
私は、夏生が、夏生じゃなきゃ、嫌なんだから……」

ぽろり、涙が、落ちる。

ぽろり、ぽろり。

「ごめん、ゆずちゃん」

夏生の手が伸びてきて、私のあたまにふれた。
ゆっくりと胸に顔を押しつけられて、涙がどんどん溢れてくる。