眼鏡とハンバーグと指環と制服と

「明花里とした時期と、夏希の誕生日、微妙にずれてるから。
夏希の父親はDVしてた奴の方。
明花里も認めたし。
夏希が生まれてから逃げ回ってて、近くに来て僕のこと、思い出したみたい。
……相手が僕だったらよかったのに、って」

「……明花里さんたち、は?」

「シェルターと弁護士探してきた。
勇のとこにも話、入れてるし」

任せとけ、って勇にぃが頷いてる。
きっと、大丈夫なんだと思う。

「……結局。
夏生くんの過去の過ちが今回の原因、と」

「……返す言葉がないです」

「そんな奴にうちの娘は渡せんなー。
なあ、母さん?」

「あらあら」

笑顔のおじさんとおばさんに、夏生はおっきな背中をますます小さく丸めて
る。

「冗談だ。
今回のことはよく肝に銘じておきなさい。
……まあ。
夕葵ちゃんがうちを、実家として頼ってくれることは嬉しいし」