眼鏡とハンバーグと指環と制服と

「ああ。
他のことはなんでもできるんだが、料理だけは苦手で。
毎日こんなおいしいものを食べてる、夏生が羨ましい」

「……褒めたって、なにも出ないからね」

「ちょっ、夏生!」

……沈黙。

……沈黙。

もう、せっかくお父さんが話を振ってくれたのに台無し!
夏生の莫迦!

「……ほんとは、夢だったんだ」

「あ、えっと、なにがですか?」

「息子とふたりで、酒を飲むのが」

「向こうに息子がいるんでしょ?
よかったじゃない」

あたまにきて、夏生の太ももつねってやったら、反対に睨まれた。

「おまえが生まれたとき、いつか、一緒に酒が飲めるといいなと思ったんだ」

「嘘だね」

「……俺の父親は、仕事しかあたまにない人でな」