眼鏡とハンバーグと指環と制服と

「はい、眼鏡拭いて!
早く家でないと、電車に遅れる!」

「……うん」

まだ俯き気味に眼鏡を拭くと、なつにぃは靴を履いた。
家を出たのはいいけど、足取りは重い。

「早くしないと、遅刻するから!」

「……うん」

……はぁーっ。

ため息つきつつ、なつにぃの右手を握って引っ張って歩く。

「教師が遅刻して教頭先生に怒られるとか、恥ずかしいことしたいの!?」

「……ゆずちゃん、手、繋がないっていったのに」

「これは繋いでるんじゃなくて、引っ張ってるの!」

……我ながら、ちょっと苦しい言い訳?
でもこうでもしないとなつにぃ、ちゃんと歩いてくれないし。

きっとまわりには、いつものようになつにぃが私に怒られて、引き摺られてる
ようにしか見えてないはず。

振り返らなくても、気配でなつにぃの機嫌が直ってるのがわかる。

それに、……私も顔が熱いから、振り返れない。