眼鏡とハンバーグと指環と制服と

ケーキを食べながら聞いてきたお父さんに、夏生が大きなため息をついた。
とりあえずお父さんは、甘いものが嫌いではなさそうでほっとした。

「夕葵の両親は、父さんが名古屋に行った半年後くらいに、事故で亡くなっ
た。
ちゃんと連絡したよ?
香典、送られてきたし。
おばあちゃんは去年の夏。
こっちも連絡したし、香典も送られてきた。
というか、あれだけお世話になってたおばあちゃんの葬式にも出ないなんて、
どういう神経してるの?」

半ば呆れ気味の夏生の言葉に、お父さんの顔が渋った。
というか今日の夏生は、なんだかとげとげいしい。

「……覚えてない」

「ふーん、そう。
僕はちゃんと、連絡したけどね」

「……忙しかったんだ」

「なにかというと、いつもそうだよね。
それに、僕のいうことなんて、聞いてないし」

「そんなことは……」

「ないっていえるの?」

お父さんは言葉に詰まってる。
夏生はさっき私に見せた笑顔が嘘のように、不機嫌そう。