眼鏡とハンバーグと指環と制服と

「ゆずちゃん、ごめん。
週末、父さんが来ることになった」

「父さんって、名古屋にいる、夏生のお父さん?」

「うん、そう。
父さんにゆずちゃんと結婚したことバレちゃって。
週末だったら僕の仕事が休みだろうから、うちに来る、って」

「って夏生、お父さんにいってなかったの!?」

「……いうわけないよ、あんな父親に」

そういって俯いた夏生の顔は。
何故か酷く傷ついてるみたいだった。

「……ゆずちゃんは僕の父さん、あんまり知らないもんね」


……僕の父さんは、仕事人間なんだ。
母さんが生きてた頃も、仕事ばっかりで家庭を顧みない人で。

僕、母子家庭みたいな環境で育ったんだよ。

しかも母さん死んでから、ますます酷くなって。
僕なんて七尾のおばあちゃんに預けたっきりほったらかし。
運動会だって授業参観だって、三者面談すら、母さんが死んでから来てくれた
のは、おばあちゃんだった。

……まあそんなことがあったから、ゆずちゃんのご両親が亡くなって、ゆずち
ゃんに同じ思いさせたくなくて、僕なりに頑張ったけどね。