眼鏡とハンバーグと指環と制服と

「……歳にぃが」

「……また歳に、なんかされたの?」

……夏生の声が。
一気に険しくなる。

「ううん。
歳にぃ、海外に行っちゃった」

「海外?いつ?」

「一緒に出かけた次の日。
私に内緒にしときたいから、夏生にも内緒にしてたって」

「すぐ帰ってくるんだよね?」

「ううん。
長期だって。
いつ帰ってくるのか、わかんないって」

「……そう」

夏生も呆然としてる。
あんなことがあって許せなくても、それでも弟と思っていた人間が、突然黙っ
ていなくなったんだもん。

「……歳にぃ、私のこと、好きだった、って」

「……え」

……ぴくりと、背中の夏生の手が震えた。