眼鏡とハンバーグと指環と制服と

歳にぃの名前が出ると、何故かおばさんが複雑な顔をした。
着替えて降りてきてきた亜紀ちゃんも。

「歳、海外赴任になって、もういないの。
しばらく帰ってこない、って」

「いつ!?」

……そんな話。
どこからも全然聞いてない。

「夕葵ちゃんとふたりで出かけた次の日、日本を発ったわ。
なぜだかわからないけど、夕葵ちゃんには今日まで秘密にしといてくれ、っ
て。
夏生くんにも、きっとすぐに夕葵ちゃんにいってしまうだろうからって、秘密
にしてた」

「なんで……」

……あれが。
最後だったなんて。
お別れも、いわせてくれないなんて。

「理由はわからない。
ほら、歳にぃ、秘密主義だったろ?」

「うん……」

「正月に親戚で集まったときに聞いたんだ。
いままで黙ってて悪かった」

「ううん。
だっておばさんも亜紀ちゃんも、秘密にしててって頼まれたんだもん。仕方な
いよ」