眼鏡とハンバーグと指環と制服と

「なに?」

「今日、ゆずちゃん、頼むね。
だいぶ落ち着いたけど、できるだけひとりにしないで。
……いい?」

「……わかった」

「じゃあ、ゆずちゃんのこと、よろしく」

気をつけて行っておいで、私のあたまをぽんぽんすると、夏生は家の中へと戻
っていった。

「ほんと、夏さんはゆずちゃんのことになると心配性だよね」

「……うん」

……ちょっと頬が、熱い。
ただ単に一緒に行けないの、拗ねてるだけかと思ってた。
ほんとは凄く、心配だったんだ。

「じゃ、今日は俺に任せて。
いい蔵元、知ってるから。
いってみようか」

「よろしくお願いします」

今日、どうしても歳にぃと一緒に出かけたかったわけは。
夏生に、バレンタインのプレゼントを買いたいから。

結婚するまえ——まだ別々の家で暮らしてた頃は、夏生は自分の家でよく、お
酒を飲んでるみたいだった。