眼鏡とハンバーグと指環と制服と

身を乗り出してきた男に、運転席の男はあきらかに動揺している。

「……誰に頼まれたのか、って聞いてるの」

ぼんやりとした視界。
ぼんやりと聞こえる声。

「……まあいいけど。
雇い主に伝えて?
あなたたちには髪の毛一本、夕葵を傷つけさせたりしないって」

「は、はいぃっ!!」

私を抱えて男が車を降りると、外にいる仲間を置き去りしてまま車は急発進で
逃げていった。

「夕葵!」

ベリリリッ、口も、手首もガムテープが剥がされる。

はく、はく。

呼吸を妨げるものはなにもないのに、息が上手くできない。

ぼやけた視界に映る、男の人。

「夕葵、僕はここだよ。
ここにいるから。
大丈夫だから。
夕葵、僕を見て。
僕だけを見て、夕葵」