眼鏡とハンバーグと指環と制服と

嬉しそうに見せられたなつにぃの左手薬指には、私に嵌めたのと同じ指環が嵌
まってた。

「なつにぃ……」

「これで、ゆずちゃんと僕は、ほんとの家族だねー」

ふふっ。

嬉しそうななつにぃの笑顔。

「僕ね、ずーっとゆずちゃんと、ほんとの家族になりたかったんだ。
いっつも僕と、ゆずちゃんと、おばあちゃんと三人でいたでしょ?
でも、ゆずちゃんとおばあちゃんは家族なのに、僕だけ違うのが悲しかったん
だ。
もしかしたらおばあちゃん、僕の気持ち、知ってたのかもね」

「おばあちゃん、なんでもお見通しだったもんね」

「そうだねー。
隠し事なんて、全然できなかったもんね。
……ゆずちゃん。
大好きだよ?
これからよろしくね?」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

なつにぃの顔見上げたら、眼鏡の奥の目が、眩しそうに細くなってた。