眼鏡とハンバーグと指環と制服と

仕方ないので、残りを食べて、片付けて。
朝淹れたコーヒーの残りを飲んでたら、やっぱり軽い足取りで二階から降りて
きた。

「ゆずちゃん、洗濯ありがとねー。
でも、僕の分は自分でするからいいよ?」

「……でも、一応、……夫婦、だし」

「……うん。
ならお願いするねー。
でも、無理しなくていいからねー?」

私が「夫婦」っていったら、みるみるなつにぃの顔が赤くなった。

……いや。
いまさら照れられても困る。

「あ、えっと、ゆずちゃん。
手、出して?」

そういわれて、なんとなく右手を出した。

「違うよー。
左手だよー」

そういうと、私の左手を取って、……薬指に指環を嵌めた。

「普段はつけてられないから、形だけ、っていうか、気持ちだけだけど。
でも、やっぱり大事だと思うからねー」